未分化の幸福


きっと、この瞬間は何よりも幸せな時間だったりするんだろうと、時々感じる。
もっとも、そんな意識は基本的にはなく、夢うつつなオレの感情で、それは本当は夢だったのかもしれない。
いや、夢じゃないか。
だって、こんなにもあたたかい。


こいつと、何をした次の朝は、けだるい幸せの中にいる。
イッた後の爽快感で寝つけてしまえばいいのだが、事後処理というものをしなければならない。
つけるものをつけたり、外に出したりすれば良いのだが、必ず中で大量に出しやがる。
当然中に出したものをかき出さなくてはならないので、なかなか事後のまったり感は味わえない。
それと似た感覚が味わえるのが、この朝のひと時。


少しだけ早く起きれば、幸せな寝顔。
朝日がまぶしいのか、顔をくしゅっとさせている。
こんな顔を拝めるのはオレだけなのかと思うと、うれしくなった。
軍服に身を包み、険しい顔つきしか見たことの無い軍部の人たち。
甘く、とろけそうな胡散臭い言葉を平気で吐く、キザったらしい顔つきしか見たことの無い、女性たち。
見たこと無いだろうな。
こんな顔。
多分、本人も見たことがないだろうな。
なんたって、寝てるときの顔だし。


共有する時間はわずかだけれど、オレしか知らないあんたを知ってる事がオレの誉れ。


あ、眼を覚ました。


「おはよう。鋼の。」
「おはよ、大佐。」


朝日がゆっくりと広がっていく。


「今日は、君の方が早く起きたんだね。」
「仕返し。普段はオレの寝顔を見られてるから。」
「それは、少し悔しいね。」


そうして、こいつはオレのおでこにキスをする。


共有されるオレ達の幸福の時間。
あと、すこしだけ。
オレは頭を摺り寄せながら、また眼を閉じた。







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