『テルスの業火』を調べると1番最初に出てくる名前が“Fullmetal”彼のコードネームだ。
場所によっては彼を神のように称えていた。
若干12歳の作った爆弾は、一瞬にして繁華街を吹き飛ばしてしまった。


コードネーム“Fullmetal”。今や、この業界でこの名前を知らない奴なんかいないね。
え?知らないって?もぐりだな。彼は凄いんだぜ。若干12歳で彼は素晴らい爆破装置を作ったんだ!
彼を有名にしたのは、『テルスの業火』流石の君でも、この事件は知っているね。
右翼派のテロリストが仲間の解放を訴え、テルス市街のど真ん中に爆弾を撒き散らしたんだ。
テロリストがいとも簡単につかまったは良いが、肝心の爆弾が処理できなかった。
地面に密着させた状態で放置された爆弾は数十箇所。
1度作動させてしまったら、少しの衝撃で爆破。
無能な爆弾処理班は悪戦苦闘の末、結局解除できなかったんだ。
避難勧告も間に合わず、爆破に巻き込まれた死傷者は十数万人。
その爆弾は解析に回されることなく全てが爆発。素晴らしいね。
処理班も全て吹き飛ばし、かろうじて残ったのは1枚の写真。
ほとんどピンぼけたその写真は、“神の爆破物”の写真と、賞賛を浴びている。
その当時、誰もが信じなかった神の名前“Fullmetal”若干12歳の神の名前だ!
今や伝説になりつつある彼は、今どこで、何をしているのか!!

いかれ道化師のHP「現代の偶像崇拝」より抜粋



彼はこの事件を知った時どんな衝撃を受けたのだろうか。
それでも爆弾を作り続けていた彼は、何を思っているのだろうか。
父親が爆破され、自身もそれに巻き込まれたからか?


それでも、彼はまだ15歳なのだ。


私は彼に恐ろしいことをしてしまった。
ただ、私は彼を失いたくなかったのだ。
私は、彼を失いたくなかったのだ。


でも、彼は、こんな私でも、彼は好きだといってくれた。
幸せにしてやると言っていた。
私はそれでも幸福になれない。
幸福というお面をかぶり続けている私は、果たして彼の言う幸せでいるのだろうか。
彼を愛しているのだ。
彼が今の私の全てなのだ。
彼が側にいるのに、彼も私に好意を寄せてくれているというのに、どうして私は幸せを感じられていないのだろうか。










黒猫の用心棒

教訓6〜またたびですか?癖になるとやめられませんね。だから、自粛してます。〜











最近彼は、トレーニングにご執心だ。
屈強な男になってやると、1日の半分を費やしている。
勿論、半分は例の研究とやらだ。
私としては抱き心地が悪くなるので、筋肉はあまり付けて欲しくないのだが、本人は至極やる気なので、下手に反対も出来ない。
なんたって、彼はわたしのBGなのだから。
射撃の訓練も怠れないと、彼は敷地内に簡単な訓練場を作ってしまった。
的があるだけの簡素なものだが、庭師と和気藹々と作っているのを廊下から眺めていた。
彼は、本当に誰とでも打ち解け、笑いを振りまく。
全員の名前と顔はすぐに覚えてしまって、大半はファーストネームで呼んでいる。


明日私たちは、2泊3日の旅に出る。
浮かれているのは私ばかりで、今回は見事に彼と二人。
仮面会談(彼がそう呼んでいるので、ついつい…)がとある島で行われる。
迎えのヘリが来るため、執事は留守番だ。


「なあ、初めての泊りがけは良いけどさ、あんた、本当に浮かれすぎ。」
孤島ということもあって、私ははじめての海水浴に勤しもうと色々と準備をしていた。
「君は泳げないんだったね。残念だね。」
アハハと笑う私を、乾いた瞳で見ている。
そんな君も可愛い。と、本当に浮かれているようだ。
「どういう会談なわけ?」
「うーん、基本的に井戸端会議みたいなものかな?」
「女中たちがしてる感じ?」
「そうそう、それに、世界情勢や環境問題なんかをトッピングしたようなのもだよ。」
「レベル違わねぇか?」
「そうかい?」
彼はいつものように、装備品を準備している。
今回はいつものように女装はしないといっている。
可愛いのに。
まぁ、行くところを考えても、集まる人間を考えても、その必要はないのだ。
「今回はやけに薬?の量が多くないか?」
「ん?ああ、向こうの出した食事だろ?とりあえずな。」
「そうかい?」
「ああ、オレがとりあえず、一口ずつ食べてから、食えよ。」
知らない土地に行こうとする彼は、緊張しているのかな?
と思うぐらい、しゃべりも何もかもがたどたどしかった。
「今までさ、BGって、3人編成ぐらいでやってたわけ、俺一人でなんて、初めてなんだよ。」
にらみを利かせる彼は、美人なだけにそれなりの凄みはある。
「だいたい、他の奴らも2人ないし、3人は連れてくるんだろ?」
「そうみたいだね。ヘリも大型のものみたいだし。」
彼は、道具をしまいこむと、寝る用意してくると言って、部屋に戻っていった。
気が付けばもうすぐ12時だった。


盛大なお見送りにもなれた。
今回は2泊3日の大旅行。
古参は握手を求めてくるし、涙を流して万歳三唱している。
「相変わらず、すげぇな。」
乗り込んでから、ため息混じりに口が動いている。
ヘッドホンを装着して、チャンネルを合わせる。
彼は慣れた手つきで既に終わっており、使用人に向かって手を振っている。
私はたどたどしく装着するのを見かねて彼は、手伝ってくれた。
見よう見まねで付けるものだから、少々は見逃して欲しい。


無事、島に着いたはいいが、泳げる海岸はないと上空から確認した私は落胆していた。
島に着いたところで私たちは仮面をしている。
今回は嗜好を凝らせた。
彼にはじめ作らせたら、おどろおどろしいものを作ってきたため、却下した。
上出来だと思う!という彼は、それを部屋に飾っている。
二人で作ろうと、一緒に考えた。
シンプルすぎず、懲りすぎず。
こんなで出来かと二人で満足していた。
が、甘かった。
彼が始めに作ったものでも、シンプルなのではないかと思うほどの懲りよう。
何をしているんだと、思わず突っ込んでしまった。
どこかのカーニバルを髣髴とさせるものから、それひとつで美術品として評価されそうなもの、はてまた、きらびやかな宝石や羽で装飾されたもの。
「あれで、良かったんじゃねぇか?」
「偶然だな。私もそう思った。」


支配人と名乗ったのは70がらみの白髪が綺麗なジェントルマンだった。
彼をお嬢さんと間違えて、憤慨させたこと以外は、とてもスムーズに収まった。
頂の頂上に立ったこの屋敷は、部屋から海が一望できる。
ただ何も無く広がる海に、年甲斐も無く感動した。
夕食は各自の部屋でとの事だったので、彼は安堵していた。
一緒に食事をなんてメンバーでもない。
初日は、こんな様子で幕を閉じた。
慣れないベッドで初めて寝るため、寝付けないと困っていたら、彼が枕を持ってやってきた。
「どうせ、あんた一人じゃ寝れねぇだろ?」
「うれしいね。」
「へ、オレが子守唄歌ってやるから、さっさと寝ろ。」
勿論、先に寝付いたのは彼のほうで、私は月明かりに光る彼の髪を眺めているうちに寝てしまっていた。




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